2月中はオミクロン終息を願って静かに耐え忍んだJoy Fellowsでしたが、3週間ぶりに菖蒲館で活動を再開した3月2日、ゴスペルシンガー塩谷達也さんとピアニスト山本裕太さんをお招きして、待ちに待ったスペシャルワークショップを開催する事が出来ました。
広く募集はしませんでしたが、飛び入りも含めてなんと29名の方が参加くださり久しぶりに熱気溢れる恵みのひと時となりました。

最初にDVDを観る予定でしたが、プロジェクターをセットしたところで会場の照明が消えないという不思議なアクシデントに見舞われ、調整の間に急遽塩谷さんがリップロールや子音を強調した発声などのウォーミングアップを実施してくださいました。
結局照明はそのままでゴスペルの歴史についてのDVDを鑑賞、アフリカから奴隷として強制的にアメリカに連れてこられた人々によって、魂と心の叫びを歌った「スピリチュアルズ」(黒人霊歌)が生み出され、それらが起源となって黒人たちの教会で「ゴスペル」が誕生し、その後様々なジャンルの音楽に影響を与えながら現代のようなスタイルに変化していく歴史の流れをコンパクトに知ることができました。

それらを学んだ後に1曲目の「I Don’t Feel No Ways Tired」をご指導頂きました。
たった4行の歌詞に込められたメッセージ…「疲れた時、ゴスペルを歌っていて何故だか泣けてきたり、曲に助けられたりする。『生きていくのは大変だけど神様は私たちをひとりぼっちにすることはない』という恵みをこの歌から受けることこそが『勝利』なのだ」という先生の言葉に思わずハレルヤ!

そして歌の最後には「I don’t believe He brought me this far」を何度も何度も繰り返します。
「何故ゴスペルは繰り返しが多いのか?」…ジャズピアニストのデューク・エリントンは『音楽(グルーヴ)が私たちを(泣きそうになる程までに)引き上げるまでは、私たちは繰り返すことをやめられない』と語っているそうです。
日々の生活に疲れ果てた状態で日曜日の礼拝に来る人々は、心が満たされるまで何度も賛美する。その人たちの為にディレクターには「ゴスペルのエッセンスに満たされるところまでリードしていく」という責任が生まれ、繰り返しやルバートの指示にひたすらピアノやドラム、クワイアが従っていく結果そうなるのだそうです。

「正確に美しく歌うよりも大切な事が他にある。ゴスペルは自分達のためでもあるけれど、今の時代もまだ差別に苦しんでいる黒人、そしてたった今戦禍にあるウクライナの人たちのため、私たちの叫び、祈りが立ち上がっていく、菖蒲館が世界になる…そんな気持ちで歌って欲しい」

塩谷さんの力強いメッセージに続いて2曲目「あなたの庭で」が生まれた経緯をお話しくださいました。
東日本大震災がきっかけで生まれた曲、福島県出身の塩谷さんが危機的状況に見舞われた故郷への思いを聖書「詩篇84章10節」の言葉にかけて綴っています。

『河のような平安がわたしを包む
 安らおう あなたの庭で
 心のふるさとに帰る日まで
 あなたのとこしえ(永遠)を胸に』

心が安らぐ歌詞に大らかにたゆたう河のように流れるメロディー、神様への感謝の気持ちを込めて歌っていると祈りの力が湧いてきます。

最後にライブ形式で2曲を通しで歌いました。
塩谷さんとの迫力満点の掛け合いや裕太さんのダイナミックかつ哀愁漂うピアノとの相乗効果で、対面ワークショップの醍醐味を満喫したJoy Fellowsでした。